話しを聴くトレーニングをしています。
これは聴くことが、いかに人を安心させ、癒し、気持ちをリラックスさせるかを
体験してほしいからです。
「聴く」ことが得意になると、これまで見えなかった観点や人の行動心理が
より分かるようになってきます。 組織の中では、トラブルを未然に防いだり
共同作業の効率化や報・連・相(報告・連絡・相談)がスムーズに機能します。
「聞く」ではなく「聴く」なのには、理由があります。
「聴く」という漢字と「聞く」という 漢字では、実際の意味も違います。
聞くという字は、もんがまえに耳、家の中に入って聞くということです。
聴くは「十の目と 心で耳を傾ける」という意味です。
聞く=英語のhear(聞こえる)音がただ耳に流れてくる状態で、
聴く=listen (意識して聴く)もしくはattend(注意して聴く)集中して聴いている 状態です。
ただ、コツをしっかりつかむまでは、知識も得て、コーチングするぞと張り切っていても、
最初のころは、まったく人の話しを聴けていないことが多くあります。
しっかり聴いていた「つもり」が、聞いていただけだったことに気付くこともあります。
私の場合は 「相手は何を言いたいのかな?」「本当はどう思っているのかな?」
「きっとこの人は、こんなふうに考えているはず。」 などと考えながら
「聞いて」いたことに気がつきました。
これでは、ただそのまま「聴いてる」ことにはならなかったのです。
初めて、補助輪を外した自転車に乗れた時と同じように、失敗を繰り返しながらも
トレーニンクを積んで、「ただそのまま聴く」ことができるようになってくると、
相手の 話しだけに集中することができるようになり、いつしか不思議なことに
相手との会話も 弾むようになっていたり、沈黙がつづいても余計なせん索をせず、
場を楽しめるようになってきます。
気がつけば、自然とコミュニケーションが、 楽しめるようになってきます。
考えながら聞いているということは相手とではなく自分の内面と、閉じた
コミュニケ ーションをとっていることになります。
相手は、あなたが聴いていないことを敏感に祭知して、話すことが苦痛になってきます。
そして、だんだん口は重くなり、探られているよ うな気がして、どんどん理解を
されていないと感じることになってしまいます。
常に聴くようにしていると、疲れてしまうというイメージがあるかもしれませんが、
これは違います。
相手のいっていることに、解釈をつけてしまったり、思い込みで判断して
先まわりをすることのほうが、はるかに自分自身を疲れさせているのです。
なによりもまずは、相手の話しを聴くことが大切です。
聴くカがつくと、相手もあなたも、楽しい時間をいっしょに過ごすという、
人間関係が築けるようになって気持ちも軽やかになることが感じられると思います。